朝日夕刊に About Prof. Takao Suzuki

昨日の夕刊に、井上逸平氏が鈴木孝夫氏の追悼エッセイを寄稿しています。ケンブリッジのハイテーブルでの活躍など「仕込み」の重要さに触れておられます。
ここにない逸話をひとつ。鈴木先生が属したコレッジのハイテーブルでは、ディナーのメインの肉料理は大きな皿に乗ってバトラーが持ってくるので、フェローたちは好きな一枚を取るのがルールだったとか。カロリーを気にして皆が小さな一切れを取るので、末席に座った先生は残りの大きな一枚を取る羽目に。そこで「Oh, this is the most unkindest cut of all」と言って万座を爆笑させたそうです。自分も小さいのがいいのに、これは最も不親切な一枚だという意味です。実は先生が下敷きにしたのが、シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』で、アントニーがシーザーの体に残る多くの傷について叫んだ一言でした。おそらく先生は、この一言をいつ使おうかと機会を狙っていたのでしょう。たいしたものです。

There appeared in the Asahi Newspaper, evening edition (24February, an obituary of the late Professor Takao Suzuki, who died 10 February. He was an internationally acclaimed socio-linguist, who left a number of anecdotes when he was a member of Downing College Cambridge. When he was at their high table, grilled beaf was served on a serving tray, he had to take the largest piece. He said, ‘oh, this is the most unkindest cut of all’. Everyone burst into laughter..

追悼鈴木孝夫先生については、動画も公開いたしました。こちらも併せてご覧ください。https://toshitakamiya.com/290/

コメント

  1. 泉 邦寿 より:

     鈴木孝夫先生追悼の3回のお話しをうかがいました。いかにも鈴木先生らしいエピソードをうかがいながら、昨年の秋まで電話で時々お話ししていただけに、もう先生のお声が聞けないのはさびしいなあ、とつくづく思いました。高宮さんが「しこみ」とおっしゃっていたこと、これは大事なポイントですね。それをさりげなく自然に行うのが、先生の技でした。私もFB(2月13日)に短い追悼文を書きました。

    • 泉先生
      ご無沙汰しております。コメントありがとうございました。「仕込み」について鈴木先生にレパートリーを窺うべきでした。私など、パーティを中座しなければならない時、TV or not TV, that is a question.を二回使っただけでした。お元気で。

      • 泉 邦寿 より:

        やあ、これは高宮節ですね。おもしろい。私はなかなかこういうことができない野暮なのですが、以前、スイスはグラウビュンデン州エンガディン・アルプス近くのコリッポという村を歩いていたら、庭仕事をしている老人に話しかけられたことがあります。こんな山奥ではじめ日本語だったのでびっくりしましたが、話し出すとすぐ英語になり、六本木に4ヶ月いたことがあるという。どうもここに来る日本人にはなじみなのではないかと思うのですが、犬を飼っていて、その名がInuというのだというから、笑えます。それで僕はすぐに、いやそれよりNekoと名付けるべきだと応答。Nekoってなんだというから、catだと言うと、大受けしましたね。

        • 泉先生

          高宮です。
          おかげさまでYouTubeの鈴木先生追悼のおしゃべりの閲覧数が伸びています。
          やはりファンが多いんですね。
          この先、西脇・厨川といった英文の巨匠たちについても思い出を残しておきたいと考えています。
          今後ともよろしくお願いいたします。

          高宮利行

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