こんにちは。高宮利行です。
久しぶりにYouTubeで私が最近出しました本についてご紹介したい、そういうふうに思っております。まことに久しぶりな出版でありましておそらく前回は10年ぐらい前の『本の世界は『本の世界はへんな世界』というタイトルのエッセイ集でした。
00:35 12月発売新刊本
今日みなさまにご紹介するのはここに持ってきましたが『書物に魅せられた奇人たち』。
奇人というのは奇人変人ですね。Eccentrics。副題が『英国愛書家列伝』というものであります。これは私が付けたタイトルではありません。勉誠出版さんに今回はお世話になりましたけれども、そちらの編集部で付けてくれたタイトルであります。ここの編集部の方はですね、なかなかいい文才を持っている、あるいは良いジャーナリズムの感覚を持っているというふうに私は見ておりますけれども、それが反映された形であります。
01:49 装丁について
帯が付いてますけれども、この真ん中にあしらわれているデザインというのは後でご紹介いたしますけれども、チャーリー・チャップリン、世界の喜劇王だったチャーリー・チャップリン彼は大変な書物家読書人であったようでありまして、彼の蔵書の裏にそれぞれくっつけて貼ってあった蔵書票、そのデザインを頂戴しました。
02:20 チャップリン蔵書票
これはどういう絵柄かと言いますと、こうやって外側に脱ぎ捨てられた大きな靴しかも汚い靴、これはチャップリンのアイコンですね、それからウォーキングスティック、杖があります。そしてこの楕円の中にはちょうど真ん中にテムズ川が流れているんですけれど、テムズ川の浅瀬を今から渡ろうとする少年。しかもおそらく浮浪児か何かだったんだろうと思われますけれども、犬を引き連れて左側にリースを持って、そして朝日があたっているロンドンの中心部、シティを見てるわけです。
ちょっとこのタイトルでは見えにくいんですけれども、ここにセントポール寺院、それから左側の方にウェストミンスター寺院が見えます。ですから朝早く、朝もやの中で煙る市内を見ながら、そこへ自分のambitionは野望を持って突き進んでいく浮浪児の少年という、これを自分の蔵書票に使った。おそらくこれは絵心もあったチャップリン自身の創作であろうというふうに思われます。
この本では第17章に「フローレンスとチャーリー・チャップリンの知られざる過去」というエッセイその中に登場するわけであります。


03:56 雑誌『書物学』
もともとこの本がどのようにして生まれたかと申し上げますと、少し歴史がありまして数年前に勉誠出版という意欲的な出版社の社長さん、池島さんと、それからその当時の編集長だった吉田祐輔さん。この2人が私のところに見えまして、新しい雑誌を出したい、しかも隔月あるいは不定期刊行という格好で書物に関するものを出したいんだけれど、という、そういうご相談がございました。
いろいろ話しているうちに、これはどうだろう、あれはどうだろうということで、落ち着いたのはこのサイズの雑誌です。その話し合いの中でひとつ決まったことがあります。雑誌を出そう書物に関するものだ。これは新しい名前を付けたいで私の発案で『書物学』というタイトル。書物に関してみんなで学ぼうじゃないか。
そういった、ですから「書誌学」でもない「書物史」でもない、中途半端だと言えば中途半端なのですがかなりいろいろなものを応用して、そして中に面白い展開をやろうじゃないかということで始まりました『書物学』。
05:20 Bibliology
ついでにじゃあ英語はというので、これもほとんどこなれた英語にはなっておりませんが、Bibliologyという。biblio これはラテン語で「本」という意味ですね、Bibleから来ているわけですが、それからlogyはlogos 「言葉にする」という意味で、書物について言葉にするそういう学問=bibliology。
不思議なことに、英米ではこなれた英語として使われていません。ですが、辞書に載っていると思います。大きな辞書をご覧になると載っていると思います。
これを採用しましてBibliologyというタイトルで始めることにしました。
06:02 連載「英国愛書家の系譜」
私もかなり初めの方から「英国愛書家の系譜」という、The Tradition of English Bibliophilesというシリーズを担当いたしまして、毎回有名なコレクター、あるいは有名ではないコレクター、これを一人ずつ取り上げ、そしてまず最初にその人の生まれ育ち環境、そういったものを紹介して、それから彼が集めた膨大な蔵書の中の一点で、たまたま私の家にあるものを取り出しまして、そしてそれについて解説を施すという。
できるだけ現代ですからカラーの写真をたくさん入れまして、書物としての面白さ、特に誰が持っていたのか、いつ持っていたのか、どういう形でそれが残っているのか、そういった歴史も含めて大体7ページから10ページぐらいのエッセイにしてイラストレーションをたくさん入れて分かりやすくする、それに心がける。そういったシリーズを出しました。
これがだいたい16回ぐらいまでなりましたときに、じゃあ1冊にまとめようということになりまして、最終的にできあがったのが、この『書物に魅せられた奇人たち 英国愛書家列伝』。
タイトルが少し前のものとは変わりましたけれど、同じような意味。キャッチもなかなかうまいんですね。「古来人々の隣には、常に書物があった」。そういう形でこれまた沢山の写真とそれから図版を取り入れた、そういうものです。
たまたま私の書庫にあります蔵書のうちで、著者の書き込みとかあるいは所有銘があるもの、それを引き出しまして、その由来について語ってみるということで、16世紀から20世紀に至るイギリスで書物あるいは古書に取り憑かれた人物を20人近く取り上げたということになるわけです。
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